<最新の物流情報>みんなのロジニュース54:国際物流業 フォワーダーの営業とは?初級編

物流一般

みなさんこんには。
2021年今年のお盆期間中、すっきりしない天気でしたね。
また、水害も発生しておりますので、皆さまお気をつけ下さい。

さて、本日のクイズと参りましょう。
国際物流会社であるフォワーダーの営業になるためには、資格は必要でしょうか?
必要な場合はその資格名を挙げてください。

5秒前









終了

<strong>回答博士</strong>
回答博士

正解は、特に必要ありません。

しかし、通関士、国際複合輸送士、ディプロマなどの

国際物流に関する資格を取得し、

営業している人は結構いますよ。

ITパスポートの有資格者もいます。

ここで営業活動を分解して解説しています。

マーケティング

<strong>営業さん</strong>
営業さん

まずは1.マーケティングから

新入社員頃は(2000年代前半ですが。。)よく先輩営業から、

<strong>先輩</strong>
先輩

”あのビルの全て階を回って来い!” 

”展示会があれば名刺を各企業に配って来い!”

と数打ちゃ当たる的な非効率な営業活動をよく強いられておりました。
当時は効率性とかは良く分からず、言われたままにやっておりました。

度胸を付ける意味では良かったかもしれませんね。新人営業さん向きですね。

また、ビルを回れと言われ同業フォワーダーに飛び込み営業へ行った新人営業の話を1つ。
(実話です。)

<strong>新人営業<br>佐藤くん</strong>
新人営業
佐藤くん

A社佐藤と言います。
国際物流やられてますか?うちに貨物下さい!

<strong>競合<br>フォワーダー</strong>
競合
フォワーダー

はい。やってますよ。
あらA社さん。うちの貨物取らないで下さいね。。。

事前にマーケティングや訪問する企業の事を調べずにいますと、こういう事も稀?に起こりますよね。
のべつ幕なしに訪問すると非効率と言うことになります。

例えば、自社で食品物流サービスを展開していないのに食品会社に営業に行くとか、カンボジアに自社関連会社や代理店が無いのに、カンボジアからアパレルしか輸入していない顧客に訪問するとか、非常に的外れな事になってしまいます。

マーケティングは重要な活動となります。

さて、本題のマーケティング活動ですが、下記3つの要素を組み合せ、ターゲット顧客を設定する事が大切と考えます。


A.業界マーケティング:どの業界をターゲットとするか?
自動車、エレクトロニクス、ヘルスケア、大型設備、食品、アパレル等々

B.エリアマーケティング:海外、国内のどのエリアをターゲットとするか?
海外のどの国の輸出入を狙うか、国内であればどのエリアの営業を強化するか。

C.企業国籍マーケティング:どの国籍企業をターゲットとするか?
日系企業、欧米系マルチナショナル企業、中国系、韓国系、台湾系等々

また、上記ターゲットに対し、自社の強みと合致するターゲットであれば、よりマーケティング活動が効率的になると考えます。

また、ターゲット設定後の企業情報の入手方法ですが、代表例はこちらになります。

このように①マーケティング活動では、自社の強みをフルに活用できるターゲットを設定する事が重要になります。

ドアオープン&ヒアリング

<strong>営業さん</strong>
営業さん

次は2.ドアオープンとヒアリングとなります。

さて、ターゲット設定後はアポイントの取得となります。
電話でのアポイントが多いですが、メールでのアポ取得もあります。
特に初めてのお客様にはメールよりも、電話でのアポイントが有効ですね。

あなたが属する会社の知名度によりますが、特に新規コールアポイントは10件のトライで1件アポが取れるか否かと、それぐらいのレベルであると考えていた方が良いです。
簡単ではありませんよ。

<strong>営業さん</strong>
営業さん

始めまして、国際物流業者A社の田中と言います。

医薬品の物流を強化しており、一度サービスをご案内させて下さい。

<strong>物流・購買<br>担当さん</strong>
物流・購買
担当さん

はい。一度話を聞かせて下さい。
明日の14時で如何ですか?

うまく行きましたね。(女性の方がアポが取れ易いと巷では言われてます。)

さて次は訪問時のヒアリング力の発揮となります。
まず、自社サービスの押し売りではなく、お客さんの話しをじっくりとヒアリングし、
課題解決に役立つ提案を行います。

<strong>営業博士</strong>
営業博士

ここで注意ですぞ

自社サービスの押し売りは、お客さんの問題解決に繋がらない事が多いですぞ。

まず、じっくりお客さんの話を聞き、自社のサービスでどのように問題解決出来るか考える事が必要じゃ。

<strong>新人営業くん</strong>
新人営業くん

分かりました。

ヒアリングのポイントは下記を押さえておけばOKでしょうか?

*現在の物流ルート
*現行の物流費用

*現行の起用物流会社
*入札時期

*お客さんの海外工場や仕入先、販売先
*問題や課題等々のお困り事

<strong>営業博士</strong>
営業博士

そうじゃな。大体を押さておるな。

あとは、決定権者を聞くことも大切じゃぞ。
ヒアリングしているお客さんが決定権者とは限らんぞ。

また、最近では直接訪問では無く、WEB会議も盛んとなっておりますので有効活用されております。
ですが、WEB会議では営業の熱量が伝わらず、対面の方が有効的と考えていますが、今や古い考え方かもですね。。。

提案と価格設定

<strong>営業さん</strong>
営業さん

続いて3.提案と価格設定となります。

さて、じっくりとヒアリング出来た後は、提案と価格設定になります。

<strong>新人営業くん</strong><br>
新人営業くん

しっかりヒアリングはして来ました!!

ですが、どうやって提案すれば良いのでしょうか?

<strong>営業博士</strong>
営業博士

そうじゃな。

一般的にお客さんは下記4点を気にされておるのじゃ。
①リードタイム、②価格、③輸送品質(商品ダメージの有無)

④営業の熱量(一生懸命さ)

これを組みわせる事によって、問題解決になる事が多いのじゃ。

<strong>営業博士</strong>
営業博士

①リードタイムは航空輸送が早く、②価格は高い。

②価格の安さを取れば海上輸送だが、①リードタイムは長い。

③輸送品質は航空、海上輸送とさほど大きな違いはない。

④営業の熱量(一生懸命さ)は最低限に持っておかねばな。

また、航空と海上輸送の中間サービスとしては、

*航空と海上の組み合わせのAir&Seaサービス

*航空輸送ほど高くは無いが、海上輸送よりリードタイムが早いフェリーサービスもあるのじゃ。

<strong>新人営業くん</strong>
新人営業くん

お客さんの商品単価によっても、違ってきますよね。

*アパレル関連はより海上貨物

*半導体や電子部品関連はより航空貨物

ですね。

問題解決出来る輸送ルートの提案を行いと思います。

最後に追記致しますと、お客さんには切替障害の心理が働くことがあります。
良い提案や良い価格を提示しても、やっぱり現行業者からの変更は大変と思われる事もあります。
その辺りは切替に当りお客さんに迷惑を掛けないようにフォワーダー側で対応可能な事は対応したい所ですね。

<strong>営業博士</strong>
営業博士

提案が纏まれば、次は価格設定じゃ。

お客様は同じ輸送ルート、輸送品質であれば、価格が安いフォワーダーを望まれておるのじゃ。
特にフォワーダー業界ではコモディティー化が進んでおり、唯一無二の輸送提案はなかなか困難となっておる。

<strong>営業博士</strong>
営業博士

よってキャリア(航空会社や船会社)からの仕入力がモノをいうのじゃ。

各フォワーダーは仕入担当を配置しており、日々キャリアと交渉しておるのじゃ。

特に物量を持っているフォワーダーは、キャリアからのボリュームディスカウントがかなり効いておるのじゃ。

日本国内や海外現地費用よりも、航空や海上輸送の国際輸送コストが物流費の大多数を占める事から、キャリアとの交渉に各社注力しておるのじゃ。

<strong>営業博士</strong>
営業博士

また、お客さんへの料金提示の前に、現行起用業者の価格を聞き出し料金を出したい所でじゃが、なかなかお客さんは教えてくれないぞ。

更に、入札(*RFQ)となれば公平性が保たれ、余計に他社の価格を探るの困難じゃ。
一発勝負的な要素が以前と比べて高くなっておる。
*Request for Quotation

<strong>新人営業くん</strong>
新人営業くん

なるほど。
そうすると一発勝負で安い値段に出すには、根本的に仕入力が大切なのですね。

<strong>新人営業くん</strong>
新人営業くん

ですが、ぼくみたいな中堅フォワーダーは大手のような価格が出せません!

どうしたら良いのですか?

諦める必要はないぞ。

価格勝負が困難であればは、君の一緒懸命さをアピールしては?

一緒懸命トラブル対応します。

一緒懸命迅速に対応します。

コモディティ化している国際物流業界じゃが、人の対応はコモディティ化は困難じゃからな。

案外大手は自社のブランドを過信し、人の対応が疎かになっている事もあると感じるぞ。


受注と納品

<strong>営業さん</strong>
営業さん

やりました!4.受注と納品となります。

営業が案件を受注すれば、あなたが先輩や上司であれば、賞賛してあげましょう。
ただ褒めるだけで無く、なぜ獲得に至ったかそのプロセスを褒めてあげる事も重要ですね。

<br><strong>先輩、上司</strong>

先輩、上司

良くやったね。

ナイス~。

成果が出たね。

ターゲット設定が良かったね。


受注すれば、まずはお客さんにお礼を!

お客様と契約書を結ぶ事をお勧めします。後々のトラブルの回避のためにも。
また、社内でオペレーションやカスタマーサービス(内勤営業)と入念な打ち合わせをしましょう。

業務手順書(*SOP)も準備し、初回からトラブルが発生しないように致します。
*Standard Operating Procedure

稀に受注すれば、オペレーションやカスタマーサービスに任せっきりで、知らんぷりの営業もいますので、しっかり社内打ち合わせを行います。

継続受注

<strong>営業さん</strong>
営業さん

最後は、⑤継続受注に向けてとなります。

お客様にトライアルで利用頂きましたが、今後継続的に受注を頂くために活動が必要です。
この段階では特にカスタマーサービス(内勤営業)の活躍が重要となります。

カスタマーサービスはSOPに基づき、①お客様と②社内の仕入部門、トラック部門、通関部門、海外法人等々との間を繋ぐミッドフィルダー的な活躍をします。

また、営業はお客さまとレビュー会議(MBRやQBR)等々を行い、競合他社に貨物が流れないようにしないと行けません。
*MBR: Monthly Business Review =毎月のレビュー会議
*QBR: Quarterly Business Review = 四半期毎のレビュー会議

<strong>営業博士</strong>
営業博士

この段階でも

”受注したから、あと社内でうまくやるでしょ。
次のお客さんに行こっと。”
と考える営業もおるが、

継続受注の対応は絶対に必要じゃぞ。

<strong>新人営業くん</strong>
新人営業くん

はいわかりました。

あとは、同僚へ獲得の成功事例の横転換も行います。

ぼくの獲得事例で同僚の営業に役立てればと思います。

空港や港見学、物流勉強会なども行いしっかりと関係強化も行います。

お客さんには、せっかく社内調整も頂きご利用頂いたのだから、他社には渡したくありません!

おわりに

今回は特に一般的なフォワーダーの営業手法を解説させて頂きましたが、解説させて頂いた内容が全てでは無いと思います。
ですが、基本は網羅されるいるとは思います。

本日は以上です。

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